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2010年8月

2010年8月31日 (火)

古代文明の隠された真実

竹内均著 同文書院 1997年刊行

図書館で見つけ読んでみた。

題名にかかわらず、ハワイ王国盛衰記や天正の少年使節が取り上げられているように、必ずしも「古代」ばかりを扱っているわけではない。しかし、あまり知られていないアフリカの遺跡についても書かれていてとても興味深く読むことができたし、インカ、マヤ、アステカ、と中南米の古い文明の遺跡や歴史についてまとめて知ることができたのは嬉しかった。

その他の内容もみな面白かった。北欧のバイキングの活躍については恥ずかしながらよく知らなかったので、日本の平安時代末期にあたる時期に、彼らがアイスランド、グリーンランド、北米大陸北部に到達していた、という記述に驚かされた。

また、天正少年使節の遠大な旅路に改めて驚嘆せざるを得なかった。その旅路を支えたことになる当時のポルトガルの力は更に凄い、ということになる。

本の内容が多岐に亘るためだろうが、文章は淡々としていて平板にも感じられた。しかし、この点を差し引いても十分楽しめる本であった。

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2010年8月29日 (日)

今日の夕空

Temp 夕方、近頃では珍しく空が赤くなったので、ベランダから撮影した。猛烈に暑い夏がいまだに続いていて辟易しているのだが、不思議なことに多少身体が暑さに慣れてきている気がする。この慣れがあるので、秋めいてくれば敏感に秋を感じるのだろう。

今シーズンは暑さのピークを越えたことを感じることと、虫の鳴き声にのみ若干の「秋」を感じるものの、この時期なのに涼しさを感じることが全くない。いやはや大変な暑さの夏なんだなーと思う。

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ピーター流わくわく旅行術

ピーター・フランクル著 岩波ジュニア新書 2002年刊行

図書館の若い人向きコーナーに岩波ジュニア新書がまとめて置かれているのだが、幾つかの中を覗いてみると、みな読み易くて面白そうだった。書いている人は若い人向けに書いていて私は熟年であるが、借りて読むのに何の差し障りがあるわけでもない。今後ちょっとずつ読んで行こうと思う。

この本にはどうしたら充実した旅ができるのか、の参考になる情報が山ほど書かれている。書かれているように旅をしたらさぞかし楽しいことだろう。

しかしピーターほどの語学力を持ち合わせる人は滅多に居ないし、書いてあるような、行く直前に幾つかの基本単語だけを学習していくやり方も、彼のように主要な数ヶ国語をマスターしている人でないとそうそう通用しないと思う。

また、旅行に行ってからの良い旅行の仕方はそれなりに良く説明されているとしても、普通の人には彼のように頻繁に旅行する財力も無ければ、各地に講演会を依頼されて旅する機会も無いだろう。書かれている中では、積極的な話し掛けを参考にして身近な「旅行」を楽しむことができるくらいだろうか。

それでもまあ楽しい旅行をする参考になることは間違いない。視点を変え彼の武勇伝として読むだけでも楽しめると思う。

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2010年8月26日 (木)

考えよ! - なぜ日本人はリスクを冒さないのか?

イビチャ・オシム著 角川oneテーマ21

イビチャ・オシム前日本代表監督の本はこれまでも何冊か読んでいるが、この本も面白い。鋭い指摘に満ち溢れている。とっくに終わっている南アフリカでのサッカーワールドカップの二ヶ月前に出された本で、日本代表を取り巻く状況の解説をしながら、日本代表がどのように準備をしていくべきか、を中心に意見を述べている。個々の指摘が的確で的を得ていると思われ、読んだのは大会が終わった半月後くらいだったと思うが、十二分にサッカーの世界を楽しませてもらった。

私は日本代表は3連敗して敗退するのではないか、と恐れていたのだが、著者もその可能性を計算した上の周到な心の準備をして大会に臨むべきだと書いている。

書かれている中には大会で一次リーグを突破しそうなチームを予想しているのだが、楽に通過するだろうと予想されていたイタリアやフランスが敗退してしまったのは、大外れであった。しかし、あまり振るわなかったアフリカ勢の戦績はがっちり当てている。

これからも日本のサッカーを見守り、折々に評論してもらえるといいな、と思った。

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2010年8月25日 (水)

あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの

管伸子著 幻冬舎新書

夫が総理に就任したことによって変わらざるを得なかった私生活のことをから始まり、管直人の素顔、政策などを分かりやすく書いてあった。マスコミを通した情報だけでは実のところ分かりにくい政権運営を内側から「こういう考え方でこうやっていますよ」と知らせてくれている感じがした。良い意味で民主党の広報に大変役立っているのではないだろうか。

総理夫妻の私生活が垣間見えて微笑ましかったし、子息の不登校問題に臨んでの管直人の対処の仕方には感心させられた。

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2010年8月23日 (月)

英語でよむ万葉集

リービ英雄著 岩波新書

読み終わって「良い本だな」と思った。

著者が英訳した万葉集の中から50首ほどを選び出し、1首につき、元歌、現代語訳(日本語)、英訳、日本語による英訳の解説という順番で進んでいく。現代語訳を読んでもまだ元歌を理解できない私でも、英訳を読むと現代語訳で得たイメージ以上に元歌が何を歌っているのかを理解することができた。かと言って分からない英語がなかったわけではないのだが、なにかこう、より立体的に万葉の世界に触れられた感じがするのだ。

英訳に対する解説の部分で、著者にとって万葉集がどのように魅力的なのか、が程よい量で語られており、この方向からも万葉集の魅力に気付かされることが多かった。

私は著者の書き上げた日本語の小説を幾つか読んで共感を覚えていたのだが、一層リービ英雄のファンになってしまった。

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2010年8月22日 (日)

宮部みゆき「孤宿の人」

新人物往来社

上下巻に亘る長い物語だが、ストーリー展開がとても面白く容易に読み切ることができた。

特に主人公の一人である「ほう」がどうなってしまうのか、が気になって気になって、読み進まずには居られなかった。

強く引き付けられ一気に読み通してしまったが、「面白かった。しかし、読んだからと言って何が残ったのか」と自問すると、特に自分を豊かにしてもらえたわけでもないし、自分に新しい世界を切り開いてくれることもなかったような気がする。エンターテインメントということなのだろうか。村上春樹の1Q84を読み通したときにも同じようなことを考えたことを思い出した。

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2010年8月21日 (土)

鉄壁

田中マルクス闘莉王著 小学館

南アフリカで行われたサッカーワールドカップの数ヶ月前に出版された本で、トゥーリオのそれまでの生い立ちと、サッカー選手としての経歴、怪我に悩ませられながら苦闘するJリーグでの日々のことが書かれている。プロサッカー選手としての彼がどのようなセンチメントで頑張っているかが良く分かった。

もう終わってしまったが、ワールドカップに向けて彼がどんなモーチベーションを持っているのか、も良く書かれていて面白かった。

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秘密諜報員 ベートーベン

古山和男著 新潮新書

何年か前にこういう題名の本のことを目にした可能性があるのだが、購入はしなかった。ベートーベンの音楽を愛する私は、ベートーベンの知られざる一面を知ることができるチャンスと思って興味を引かれたが、何か胡散臭い題名に思え、読んだら好きな彼の音楽を聴くときにしらけてしまうようになったら嫌なので、買わなかったのだと思う。

今回読んだのは、その本が図書館に置いてあったから。図書館で借りた本なら、読んでいる途中で嫌気が差したら返却してしまえば良い、という気楽さがある。

本の内容は、知る人ぞ知るという類の話なのだが、ベートーベンの遺品から見つかったとされる「不滅の恋人」宛てのラブレターに関するものである。その恋人が実際の誰だったのか、を巡り、さまざまな説が提出され議論されてきたが、いまだに特定されていない。

著者は手紙が書かれた当時の状況から、当局の検閲をかいくぐるためラブレターを装って書かれた報告書と見て議論を進めていく。特定の女性に向けて書かれた手紙ではなかったと考えているのだ。手紙が書かれたのはナポレオンがロシア遠征を行っていた時期に当たり、ヨーロッパはナポレオンを歓迎する人達と利害を異にする人達の対立を抱えていた。ベートーベンの周辺でも社会は守旧派と改革派に分かれてうごめきあっていたと言う。ベートーベンは積極的に改革派を応援する知識階級の一員であったらしい。これに関しては私もこれまでに伝え聞いていたと思うが、この本では彼が積極的に情報伝達に関与していたとするのである。そういう捉え方もあるのか、と興味深く読むことができた。実際にそうだったのかどうか私には分からないところであるが、彼がそういう活動をしていたと考えられる一面を持った作曲家であることは間違いなさそうであり、今後彼の音楽を楽しむうえで、大いに参考になると思う。

学生時代に世界史の授業でさらっとしか触れられていなかったナポレオン当時のヨーロッパの社会状況が描かれているのも、大いに興味深かった。

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