「身も心も」 盛田隆二著 光文社
6年前に妻を動脈瘤で突然失った75歳の主人公は、家に籠りがちな父を気遣う息子に勧められ高齢者の絵画サークルに通い始める。そこで男性会員のマドンナ的存在である副主人公に出会い、徐々に付き合いを深めて行くのだが・・・ というお話である。
妻が突然倒れてあっけなく死んでしまう際の出来事の描写や、脳梗塞に陥った状態を一人称的に書いてある部分がとてもリアルで迫ってくるものがあった。誰しもこういう感じで最期を迎えるかもしれないのである。おそらく、自分のものか伝え聞いた体験談を元に書いたのだろうと思う。自分もそういうことになるのかもしれないと思うと余計に迫ってきた。
歳はとっても恋と無縁になるわけではない。しかし配偶者を失ったあとの恋愛は、相続が絡んでくるので一族に警戒されるのも書かれているし、高齢者同士の恋の鞘当てもあるようで一筋縄ではいかないようだ。
高齢者の恋愛物と聞いて、割とプラトニックなものなのかと想像して読んだのだが、そうでもなかったところに驚かされた。これからの時代、こういう読み物が増えてくるのだろうなと思ったのだった。
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